【3】 事業計画・資金計画

2024.01.01

【3】 事業計画・資金計画

1.士業の紹介

クリニックを安定して運営するためには、税理士や社会保険労務士、保険会社と連携することが不可欠です。これらの専門家は、税務や労務管理、保険の選定においてアドバイスを提供し、経営上のリスクを最小限に抑える手助けをします。開業する地域や医師の個別ニーズに応じて、適切な士業を紹介し、サポート体制を構築します。

2.事業計画の作成

クリニックを成功させるためには、綿密な事業計画が必要です。損益分岐点(いわゆる経営が成り立つための最低限必要な患者数)を具体的に計算し、それに基づいてどのように経営を維持していくかを検討します。また、初期投資やランニングコスト(運営費用)を一元管理し、無理のない範囲で持続可能な計画を立てることが重要です。

3.キャッシュフローの予測

クリニック運営で最大のリスクは、資金不足(資金ショート)による経営破綻です。これを避けるために、キャッシュフロー予測をしっかりと立て、いつ、どのタイミングで資金が足りなくなる可能性があるかをあらかじめ把握します。これにより、突然の資金不足を防ぎ、安定した経営を実現できます。

4.運転資金の確保

クリニック開業後は、患者数が安定するまでに時間がかかる可能性があります。そのため、初期費用だけでなく、運営を維持するための運転資金を確保することが非常に重要です。少なくとも6か月から1年分の運転資金を準備しておくことで、開業後の予期せぬ事態に対応できるようにします。

5.無駄な支出の抑制

開業初期には、多くの費用が必要になりますが、必要以上の設備投資や、過剰なマーケティング支出を避けることが大切です。クリニックの成功には、賢い資金の使い方が不可欠であり、無駄なコストを抑えることによって、長期的に経営を安定させることができます。

6.金融機関との連携

開業資金の融資を受ける際には、金融機関との信頼関係が重要です。クリニック経営者として金融機関と良好な関係を築き、融資条件や返済条件について柔軟に対応してもらえるようにしましょう。事前に金融機関との連携を深め、適切な融資プランを組むことが成功のカギとなります。

7.生命保険の見直し

クリニックの経営者として、不測の事態に備えるため、生命保険の内容を見直すことが必要です。借入を行う場合、万が一の時に残された家族や事業に影響が出ないよう、適切な保険契約を見直しておきます。ファイナンシャルプランナーの協力を得ながら、将来的なリスクに備えた保険内容を再検討しましょう。

8.返済計画の明確化

融資を受ける場合、事業運営を圧迫しない現実的な返済プランを立てることが大切です。無理のない返済計画を組み、計画通りに返済できるかどうかを定期的に確認しながら、経営が安定するように努めます。返済が滞ることなく、長期的な経営を見据えた計画を立てることが成功への道です。

9.税務計画

開業時には、税金の申告や減税措置を正確に行う必要があります。税理士と連携し、税務計画をしっかりと立てることで、税負担を最小限に抑えながら、経営を安定させることができます。クリニックの収入や支出に基づいた正確な税務計算を行い、納税時期をしっかりと把握することが重要です。

10.節税対策の検討

適切な節税対策を講じることで、開業前から税金の負担を軽減する方法を検討します。設備投資や人件費など、税務上のメリットを最大限に活用できるように税理士の助言を受けながら、節税効果を高めましょう。税負担が軽減されることで、資金繰りの安定にも寄与します。

11.補助金・助成金の活用

医療関連の補助金や助成金は、開業時の資金負担を軽減する大きな手段となります。国や地方自治体から提供される医療支援や地域活性化に関する助成金を活用できるかどうかを確認し、申請手続きを進めます。これにより、開業コストの一部を補助金でカバーできる可能性があります。

12.現金流動性の確保

クリニック運営では、突発的な支出が発生することが少なくありません。そのため、常に現金の流動性を確保しておくことが重要です。予想外の支出に備え、常にある程度の現金を手元に残しておくことで、いざという時にスムーズに対応できます。流動性の高い資金を確保することは、経営リスクを減らすための基本的な戦略です。

13.非常時の資金計画

不測の事態に備え、緊急時の資金計画をあらかじめ用意しておくことが大切です。例えば、経済危機やパンデミックなど、予期せぬ出来事によって経営が影響を受けた際に、どのように資金を確保するかを計画しておくことで、クリニックの存続を確保します。この計画があることで、非常時にも冷静に対応できます。

14.キャッシュフロー予測の精度向上

開業後は、定期的にキャッシュフロー予測を見直し、その精度を高める必要があります。経営が順調に進んでいるか、資金繰りに問題がないかを常に確認し、適切な対応を行うことで、長期的に安定した経営を維持します。予測を定期的に見直すことで、早期に問題を発見し、迅速に対処することが可能です。