【5】 医療機器の選定

2024.01.01

【5】 医療機器の選定

1.診療方針に沿った機器の選定

クリニックで行う診療内容や目指す医療の方向性に合った医療機器を選ぶことが重要です。例えば、内科では一般的な診断装置や検査機器が必要ですが、外科や皮膚科など特定の診療科では、より専門的な機器が必要です。どの機器が診療方針をサポートできるかを明確にし、それに基づいて選定します。

2.コストパフォーマンス

医療機器の購入は大きな投資です。そのため、予算に対して最大の効果を発揮するためには、優先順位を決めて必要な機器を選定します。コストパフォーマンスを考慮しながら、高価な機器が本当に必要か、コストを抑えられる他の選択肢があるかを検討します。

3.機器メーカーの信頼性

医療機器は長期間にわたって使用するものが多いため、メーカーの信頼性は重要です。購入する機器のメーカーが信頼性の高い企業であるか、長期的にサポートやメンテナンスを受けられるかを確認することで、将来的なトラブルを防ぎます。また、メーカーの実績や評判も参考にします。

4.安全性・認証確認

購入する機器が安全に使用できるか、また必要な医療機器の認証を取得しているかを確認することは、医療機関にとって不可欠です。特に日本国内で使用する医療機器は、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づいた認証を受けていることが求められます。これにより、安心して使用できる機器を導入できます。

5.操作の簡便性

医療機器はスタッフが日常的に使用するため、操作の簡便性が重要です。複雑すぎる操作はミスの原因となり、効率も下がります。スタッフがスムーズに機器を使いこなせるよう、操作が簡単で直感的に使えるものを選定します。また、患者にとって負担が少なく、迅速に診断・治療が進む機器であることも重要です。

6.機器の互換性

複数の医療機器を導入する場合、それらが互換性を持ち、シームレスに連携できるかを確認します。たとえば、患者データを共有するシステムや電子カルテとの連携がスムーズであるか、異なる機器間でデータのやり取りが簡単にできるかを確認することが重要です。

7.メンテナンス体制

医療機器は長期間使用するため、定期的なメンテナンスが欠かせません。購入前に、メーカーや業者がどのようなメンテナンスサポートを提供しているかを確認し、トラブルが発生した際に迅速に対応してもらえるかどうかを把握しておくことが大切です。

8.保守契約の確認

購入時に、機器の保守契約がどの程度充実しているかを確認します。修理対応や定期点検、緊急時の対応など、必要なサポートが受けられるかどうかは、クリニックの運営に直接影響します。また、契約内容を細かく確認し、隠れたコストがないかも重要なポイントです。

9.緊急時の対応策

医療機器が故障した場合、迅速に代替機器を調達できる体制が整っているかが非常に重要です。例えば、リース契約で代替機器を手配できるサービスがあるか、故障時の対応が迅速であるかを事前に確認し、緊急時の対策を講じておく必要があります。

10.ランニングコストの把握

医療機器の購入後に発生するランニングコストも事前に把握しておく必要があります。機器のメンテナンス費用、消耗品のコスト、ソフトウェアの更新費用など、長期的な運用にかかるコストを予測し、それがクリニックの経営にどのように影響するかを考慮します。

11.スタッフの操作訓練

新しい医療機器を導入した際には、スタッフが正しく機器を操作できるように操作訓練を実施する計画を立てます。訓練を通じて機器の操作に慣れてもらうことで、診療の効率が向上し、医療事故のリスクも減少します。メーカーや業者が提供するトレーニングプログラムを活用することも有効です。

12.将来の技術進化に対応可能か

医療技術は常に進化しています。将来的に技術が進歩した際、アップグレードが可能な機器を選ぶことで、長期的に利用できる医療機器を確保します。例えば、ソフトウェアの更新が簡単に行える機器や、追加機能を後から追加できる機器を選ぶと、将来の技術変化にも対応しやすくなります。

13.レンタルやリースの活用

機器の購入だけでなく、レンタルやリースも検討することで、初期コストを抑えることができます。特に高額な医療機器や、使用頻度が限られている機器は、レンタルやリースの方がコストパフォーマンスに優れる場合があります。レンタルやリースのメリット・デメリットをしっかりと把握して、導入方法を選びましょう。

14.中古機器の検討

あまりお勧めはしていませんが、予算に限りがある場合や、初期費用を抑えたい場合は、中古医療機器の導入も一つの選択肢です。中古機器でも信頼性が高く、十分に機能するものも多く存在します。ただし、購入する際には機器の状態やメンテナンス履歴、保証内容を十分に確認し、品質に問題がないかを確かめることが大切です。